2013年6月4日火曜日

生徒と役者の名言

長年塾をやっていると、生徒から教えられることも多いです。

それは思いがけない考え方だったり、生活上のヒントだったり、いつも思っていたことを簡潔な言葉で述べてくれたりと様々です。

去年ものすごい勢いで中3で成績順位を40位ほど上げ、内申点を5ほど上げた男子がいました。その子はいわゆるやんちゃで勉強には無気力な子で、計算力は抜群ですが、社会や英語なんかは伸び悩んでいたのですね。原因ははっきりしていて、勉強のやり方がないっていなかったのですが。

その彼が心を入れ替えて中2後半ごろから、塾に自習に来るようになり。私もたびたび指導をし、悪態をつきながらも成果が出てきたときに、こういったのです。

「なんだ、テストなんて覚えゲーじゃん」

「覚えゲー」というのは、テレビゲームの用語で、ある手順(パターン)を覚え、その通りにプレイすることで楽に攻略できたり、ゲームを進める上での有利・不利が発生しやすいゲームの総称です。

つまり、テストも一緒でパターンを覚え、身につける事が大事だと彼は言ったわけです。
これってすごい至言ですね。

コンピュータゲームに限らず、古来から多くのゲームいにおいて記憶力はゲームの上達に深いつながりがあります。ルールやパターンや定石を理解している者とそうでない者の間にはおのずと実力差が生まれます。


それは囲碁も将棋もコンピュータゲームもスポーツにだってあるわけですが、それをきちんと身につけているというのはそれだけの鍛錬をこなした技能の蓄積がある証拠です。

 パターンや定石とはいわゆる武道や芸能における「型(かた)」です。

勝てない人や下手な人ほど「型」ができていません。鍛錬ができておらず、技能の蓄積ができていないからですね。「型」というのは、行動や考え方の軸です。その軸があるから、なにかイレギュラーなことにもスッとその場で対応できます。だから強いわけです。
 
 去年亡くなられた歌舞伎役者の中村勘三郎さんは、小さい頃から歌舞伎の基礎、「型」を収得されてきたので、どんな演目でもある程度見たらだいたい再現できたそうです。型の基礎ができているから、あとは経験である程度カバーできると。

勘三郎さんは破天荒な脚本家の宮藤官九郎さんの脚本で舞台をやったり、英語で舞台をやったりと歌舞伎の革命児的なところがありましたが、こうおっしゃったことがあるそうです。

「型破りってのは型があるから言えるのであって、型が無ければ形無しだと」
型がしっかりできるから、新しいものをやっても認めてもらえんるだと。すばらしい名言です。

奇しくも、「型を作ることの大切さ」について中学生と名歌舞伎役者が同じ真理に到達していたのです。
これってすごいことですね。



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